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教えて、先生!

No.029子供の生活リズムと心の発達は関係があるのですか?

Q.

心は、体の調子と関係していると聞きましたが、体の調子を整える生活リズムと心の発達も関係があるのでしょうか?どんな関係があるのですか?

教えてくれるのは>>>田副 真美先生(ルーテル学院大学准教授・臨床心理士)

A.

穏やかで楽しい刺激や睡眠・食事などの生活リズムをつけることは、体の基本的な働きや感情(心)の働きに関係するセロトニン神経が活発に伸びて、安定した脳を作るのに有効です。安定した脳の発達が安定した心の発達につながります。無理をしすぎず、小さなステップを続けていきましょう。

近年、心理的な問題を抱える子供が増えています。その原因は、1つではなくていろいろなことが、関係しあっているといわれています。その中の1つが心理疾患の症状の多くに関連しているセロトニンという神経伝達物質です。セロトニンは、脳に広く存在していて、食欲、呼吸、睡眠リズムといった人間の基本的な生活に関係する神経と、快や不快感、安心と不安、衝動などの感情の働きにも関係している重要な物質です。

実は、セロトニンの働きは生育環境や生活環境で大きく変わる可能性があります。ヒトの脳内のネットワークは、生まれた後、育っていく過程でどんどんと作られていき、5歳くらいに個人個人で全く違うネットワーク構造が出来上がります。これが、ヒトの基本的性格を形作るといわれています。

穏やかな楽しい刺激や睡眠リズムと食事のリズムをつけることは、セロトニン神経を活発に伸ばし、安定した脳を作るのにとても有効です。安定した脳の発達こそが、安定した心の発達につながります。また、セロトニンは、食べ物に含まれるトリプトファンというアミノ酸から、体の中で分解して作られますので、トリプトファンを含む食事(肉、乳製品、バナナなど)をしっかりととることも大事です。 

一方で、生活のリズムを整えることばかりに目がいって、お母さんが無理をしてしまいストレスをため込んだり、言う事を聞かないからとお子さんを叱ってばかりでは逆効果です。「努力はするけれど無理はしない」を合言葉に、「楽しい」気分でご飯をみんなで食べたりすることが、さらにお子さんの情緒を豊かにしていきます。お子さんが、少しでも早く支度ができたり、ご飯を沢山食べられたら褒めてください。夜更かしていたお母さん自身がいつもより早くテレビを消して、寝ることができたら自分自身を褒めてください。

楽しい経験や褒められた経験が、不安な気持ちが出てきたときに「大丈夫」という安心感を引き出してくれるのです。乳幼児期の経験が、その後の成長への大事な1歩となります。小さなステップで、長く続けていくことが大切です。

《参考》携帯電話向けのウェブサイトコンテンツ「乳幼児期に大切なこと」に、セロトニンの説明があります。携帯電話向けの表示ですが、パソコンからもご覧いただけます。

こちらからどうぞ。 ⇒ 「セロトニン」ってなんですか?

★ほん・本・ごほんの番外編★

都立多摩図書館から、テーマに関連する絵本を紹介します。お近くの図書館で探してみてくださいね。

ちいさなねこ

『ちいさなねこ』

石井桃子作 横内襄絵 福音館書店

小さなねこが、お母さんねこの見ていない間に、1人で外に出かけました。子供につかまったり、車にひかれそうになったり、大丈夫かな? 小さなねこの大きな冒険。

※「ほん・本・ごほん」本編は、「都立図書館 こどもページ」にあります。

田副 真美(たぞえ まみ)先生のプロフィール

ルーテル学院大学准教授・臨床心理士。

臨床心理士として、小児科などの医療現場における心身症の治療の経験をもとに、心と体そして脳との関係についての視点から臨床心理学を学ぶ学生への教育や研究を行っている。

平成20年度文部科学省子どもの生活リズム向上のための調査研究事業「リズム遊びで早起き元気脳」のプロジェクトに参加し、子供の心と体の「おかしさ」の問題と幼児期の生活リズムの関連や保護者の心理等についての研究も行った。

主なご著書等(すべて共著)
「子ども支援学」(文化書房博文社)、
「脳とこころの子育て」(ブレーン出版社)ほか。

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